千畝の勇気、海越え響け 「命のビザ」発給地 リトアニアでオペラ

今年は戦後70年でもあり、杉原千畝が注目されています。詳しい記事は、以下のとうりです。

 

第二次世界大戦中の欧州で、日本人外交官の杉原千畝(ちうね)氏が発給し、多くのユダヤ難民を救った「命のビザ」の実話を基にしたオペラが完成し、ビザ発給の地・リトアニアで十二日、世界初演される。同国との親善に取り組み企画した音楽家らは「杉原さんと、その行動を支えた多くの人々の姿を表現できれば」と期待している。

 

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 作品名は「オペラ杉原千畝物語『人道の桜』」。

 物語は杉原氏の妻、幸子さんが主役。史実を基に、当時の日本の時代背景を盛り込みながら物語は進む。早稲田大生時代、外交官としての活躍、幸子さんとの出会い、「命のビザ」発給、ユダヤ難民たちの逃避行と彼らを温かく受け入れた日本人、そして戦後…。せりふや歌詞はほぼ全編日本語で、「回覧板」「隣組」など日本独特の言葉も随所に盛り込んでいる。

 「リトアニアの方々は思った以上に期待している」と舞台監督を務める作曲家の安藤由布樹さん(53)=東京都調布市=は初演に向けての決意を語る。

 安藤さんは、音楽活動を通じてリトアニアと交流を続けており、日本リトアニア友好協会理事を務める。リトアニアが舞台である杉原氏の物語をオペラで表現する構想も、長く温めていた。長年の音楽仲間で、杉原氏が題材の歌曲集に参加したことがある、ソプラノ歌手の新南田(しなだ)ゆりさん(52)=三鷹市=に脚本執筆を依頼、構想が具体化した。

 出演者はプロ歌手のほか、公募で集まった東京や千葉など首都圏の市民合唱団有志。リトアニアには十日、計四十人が向かった。

 会場は首都ビリニュスの国立ドラマ劇場。演奏はビリニュス市立のオーケストラが務め、ビリニュス市民合唱団など現地の人々がステージの三つの場面で日本語のオペラ曲を協演するなど、現地の音楽関係者が総出で支援する態勢が整った。

 リトアニアでは小児がん患者が増えており、安藤さんはその支援にも以前から取り組んでいる。今回の公演でも日本で募金を集め、現地で医療寄付金とグランドピアノを寄贈する。

 オペラの題名「人道の桜」は、ビリニュスにある杉原氏の記念碑周辺に、杉原氏生誕百年記念で二〇〇一年に日本から贈られ、植樹された桜の木にちなんだ。唱歌「さくらさくら」も劇中歌として登場する。

 脚本担当の新南田さんは主役の幸子夫人を演じる。「千畝さんの業績を支えた気丈で、自分の意見をしっかり持っている女性だったと思う。それを表現したい」と意気込む。杉原千畝氏役を演じるバリトン歌手の女屋(おなや)哲郎さん(61)は、「杉原さんの気持ちを歌で表現できれば」と話している。

 日本公演は、七月二十六日に東京都新宿区の早稲田大で、十二月五日に品川区のきゅりあん大ホールで予定されている。詳細は未定。問い合わせはフェイスブックの公式ページで。「人道の桜」で検索。

<命のビザ> 杉原千畝氏(1900~86年)が駐リトアニア日本領事代理だった40年、ナチス・ドイツの迫害から逃れようと領事館に押し寄せたユダヤ難民に、日本政府の訓令を無視して独断で大量発給した日本通過ビザ。これを手にした難民たちはシベリア鉄道で旧ソ連・ウラジオストクへ向かい、船で福井・敦賀港から日本に入国。神戸や横浜などに滞在したのち、米国やカナダなど安住の地へと旅立った。杉原氏は戦後間もなく外務省を事実上解雇された。イスラエル政府は85年、杉原氏に「諸国民の中の正義の人賞(ヤド・バシェム賞)」を贈った。